TCFDコンパスマンガ
2021年に開催した第3期TCFDコンパス研究会の成果として企業などのTCFDの導入のイントロダクションにご活用いただけますように『TCFDコンパスマンガ』を公開いたしました!中国語版と英語版も作成しています。ぜひ、ご感想をお寄せ下さい!
印刷用PDFファイルはこちらからダウンロードください(PDF:5.4MB)
気候変動のためにできることを考え、この度、翻訳版作成のため、団体として初めてクラウドファンディングに挑戦し、中国語版と英語版が完成いたしました!
中国語版印刷用PDFファイルはこちらからダウンロードください(PDF:15.6MB)
英語版印刷用PDFファイルはこちらからダウンロードください(PDF:15.8MB)
企業を取り巻く環境も地球環境も変化しています。後者については残された時間がわずか10年、と言われるほど世界の平均気温の上昇に歯止めがかかりません。
これを何とかしたい!気候変動対策に不可欠なTCFDに焦点を定め、2019年から研究会を開催し、その成果としてマンガを作成しました。さらに気候変動にストップをかける一助になればと考え、この度、中国語版と英語版も作成いたしました。
TCFDとは2015年にG20の財務大臣と中央銀行総裁が金融安定理事会(FSB)に要請して設立した気候関連財務情報開示タスクフォースのこと。温室効果ガス排出による地球の温暖化が、世界経済に深刻なリスクをもたらし多くの経済分野に影響を及ぼすことを懸念して、金融機関や事業会社(売上1,000億円以上)に気候関連情報のリスクや機会の開示を求めるための枠組み作りなどを行う。2023年6月15日現在4,500以上の機関が賛同(内1,344が日本からの賛同)。
TCFDの提言(2017年)、非金融企業のためのシナリオ分析に関するガイダンス(2020年)など、当法人で翻訳したものを広く一般に公開(https://www.sustainability-fj.org/)。またTCFDコンソーシアムと協働で指標、目標、移行計画に関するガイダンスを翻訳(https://tcfd-consortium.jp/news_detail/22042801)
「社内に浸透させるには」。これは、企業のサステナビリティ部門の担当者がはじめにつまづく課題の1つで、20年前から一貫してなされている質問です。
日本では、公害問題をきっかけに1990年代半ばから各社で環境部が設立されはじめ、自らの環境取り組みについて、パフォーマンスに関する測定を行い、方針や目標とともに情報開示および説明責任を果たすことの重要性が認知されるまでになりました。
国際社会も格差是正など、先進国も含めた2030年の文明のあり方を考えるSDGs(持続可能な開発のためのアジェンダ2030)とCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)のパリ協定を同じ2015年にそれぞれ全加盟国の合意の下で採択しています。
近代始まって以来の無限を前提とした進歩や成長というキーワードが無理になり、気候変動でいうと、大元のガス、つまり温室効果ガスを大気圏に無限に排出することができない、有限の時代に入りました。世界は持続可能な社会実現に向けて舵を切ったというわけです。
ですが…
持続可能な社会実現に向けて全人類で取り組むという方向性は決まった
↓
社内の理解が得られていない
↓
社会構成員の中でも影響力の大きい企業の取り組みが全社的に広がらない
このように多くの企業人が、世の中の流れや実際に気候危機を肌で感じつつ、勉強はするものの、劇的な取り組みを行えないでいるのです。
まずは気候変動という課題のこと、芽吹きはじめた企業の気候変動対策の方法について広く知ってほしいと考え、このようなマンガを作成しました↓
https://www.sustainability-fj.org/TCFD_manga/book/#target/page_no=1
マンガは、気候変動について話し合う国際会議の模様を伝えるニュースから始まります。
地球環境は、私たちの暮らしを支える最も重要で基本的な基盤です。ところが、私たち人間活動の影響で、工業化以前に比べ、このまま何も対策をしなければ、2100年には、今より4℃気温が上昇すると言われています。日本でも、真夏日が連続50日、最高気温40.8℃の予測が世界気象機関(World Meteorological Organization、WMO)から発表されています。気候変動の影響が出てくると、例えば、暑さを感じにくい認知症のお年寄りが6月に冬の装いで外出し、熱中症になってしまう、といったことはすでに現実に起きていることです。
そこで、各々で対策を講じ、気候変動の影響を小さくするために、社会構成員の中でも影響力の大きい企業にシナリオ分析/プランニングという思考法で、未来の社会状況を描き、事業活動を通じてできることを考えてもらいます。その導入としてこのマンガを作成しました!
マンガを多くの方に伝えることにより、気候危機に社会全体で立ち向かう風土を醸成することに役立てます。またこの翻訳版は、企業の取引先やバリューチェーン全体で気候変動と事業の関わりについて考えられ、バリューチェーン全体でカスケード式に社会全体のサステナビリティ意識が高まることを期待しています。
翻訳版は、英語と中国語の2カ国語で作成し、翻訳にはお二方の協力を得ました。
マレーシアにお住まいで、ファーストペンギン代表のウォン・ライヨンさんが中国語版を担当しました。
2021年の第3期TCFDコンパス研究会では参加者皆さんを励まし、名ファシリテーターとしても活躍くださいました。
またTCFDコンパスマンガにも登場し「そっくり!」とご評価いただいたサステナビリティ日本フォーラム代表理事の後藤 敏彦が英語版を担当しました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
対策を先延ばしにしないために、マンガで分かりやすく伝えることに行き着きました。それも気候変動の影響を企業の財務情報の中で開示するという金融庁の枠組みと並行して行うことで「自社でもできる」そして「全社的に取り組むべき」という考えに至ってもらいたいと考えています。また「これなら取引先に紹介できる」という状況をつくりだします。
地球環境のために、企業の気候変動対策が実り多いものとなるよう、マンガの周知を着実に進めたいと願っています。
・翻訳版作成の原典となるTCFDコンパスマンガを2022年3月16日に公表。
・社内で展開したい。展開するために確認したい内容がある、と問合せをいただき、
・またメディアにも取り上げられ、
・読者の反応も受けて、内容に説得力を持たせるため、奥付を作成&公表。
・中国語と英語を言語とする方々にも読んでいただけるよう、TCFDコンパスマンガ翻訳版を2022年9月30日に公表。