平成23年度報告

1.事業報告にあたって

サステナビリティ日本フォーラムにおける(以下、「本会」と呼ぶ)年々充実度の高まる様々な活動は、103会員(平成23年12月現在)からの会費収入及び多岐にわたるご支援と、12名の運営委員による無償の活動、15名の役員と23名の評議員の皆様のご支援とご協力によって成り立っており、持続可能な社会に向けて日本企業のCSRの推進を支援する代表的な団体として、大変充実した活動を行っている。

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また、平成23年度は、3月11日に発生した東日本大震災が日本に大きな衝撃を与えた。本会では、広がる被災地への支援の輪を皆さまにお伝えすべく、企業会員の皆様の取り組みについて紹介するウェブサイトを公開(3月23日、4月6日調査。4月22日再調査)。 農林水産省ご担当者より問い合わせいただくなどの反応があった。

2.事業報告

企業のCSR活動を啓発・促進する事業

【勉強会】

1.CSRシリーズ勉強会「グローバルなガイドラインを踏まえたCSR活動と報告のあり方」(3回シリーズ。1~3回までののべ参加者数103名)

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平成23年度のシリーズ勉強会では、近年発行・改訂が相継ぐガイドラインの情報をいち早く捉え、報告のあり方について、勉強会を開催した。会場はあいおいニッセイ同和損害保険株式会社様のご厚意により、新宿ビル3F会議室内を提供いただいた。

第1回「ISO26000と報告のあり方」:6月23日(木)(参加者数39名)
講師:サステナビリティ日本フォーラム代表理事 後藤敏彦
   日本電気株式会社 CSR推進部長 鈴木均 氏

第2回「OECD多国籍企業行動指針改訂」:7月21日(木)(参加者数29名)
講師:外務省経済局 経済協力開発機構室長 清水享 氏
   国際NGO FoE Japan 理事 満田夏花 氏

第3回「Integrated Reportingフレームワーク」:10月4日(火)(参加者数35名)
講師:公認会計士 森洋一 氏
   株式会社三菱ケミカルホールディングス 経営戦略室部長 濱田栄一氏

定員45名に対し、毎回30~40名の企業の方にご参加いただいた。高い関心が注がれる3つの国際規範、ISO26000・OECD多国籍企業行動指針・統合レポートの枠組みの中間報告は、いずれもこれからのCSR活動の方向性を示すものであった。アンケートで「CSRレポートを活用した浸透方法などが参考になった」「もっと対話をしないといけない」「経理部門とCSR部門の協働がこれから必要なことになると思う」などの反応をいただいた。また、CSRをコンプライアンスや社会貢献といった考え方でなく、戦略的なもの、実務そのものと捉える方が増えていることが実感できたことも大きな収穫であった。

2.ステークホルダーエンゲージメント勉強会:12月14日(水)(参加者数42名)

日本企業においては、まだまだ経験値が足りず、組織ごとに手探りをしている状況のステークホルダーエンゲージメントについて、事例を共有する勉強会を開催。これからの持続可能な社会に向けた新しい戦略地図を描く役割を担うであろうステークホルダーとの対話と協働について理解を深めた。
パネリスト:サステナビリティ日本フォーラム代表理事 後藤敏彦
      株式会社資生堂 執行役員 技術企画・品質保証・
      フロンティアサイエンス事業担当 岩井恒彦氏
      動物との共生を考える連絡会 山崎恵子氏
モデレーター:IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 川北秀人氏

資生堂岩井氏より、平成22年からスタートした「動物実験円卓会議」の発表を通じて、有識者とともにステークホルダーエンゲージメントのプロセスや本質について議論を行った。課題解決に向けて試行錯誤をしている多様な立場の参加者の足がかりとなるような勉強会となった。アンケートではNGOの立場の方から「(中略)全ての試験項目において、代替法による安全性保証体制が整うことができるよう、応援したい」というコメントをいただいた。企業の参加者からは「ダイアログはしているが、エンゲージメントという点では取り組みがまだまだであり、考える良い機会となった」との感想をいただいた。

3.CSR担当者のためのCSR基礎講座(企業におけるCSRへの対応)(参加者数25名)

企業のCSR担当初心者を対象に、少人数制(Max6名)・完全予約制ゼミ形式のCSR基礎講座を月1回のペースで、計9回開催した(第2回は地震の影響を鑑み、中止した)。参加者は各回3~6名であり、講座後のアンケートにおいて一定の満足度を得ている。
講師:サステナビリティ日本フォーラムアドバイザー 鎗野達男

4.CSR基礎講座特別編「CSRレポート作成勉強会」:2月22日(火)(参加者数5名)

昨年から実施し、「大変参考になった」「また開催していただきたい」とご好評いただきCSR基礎講座の特別編として平成23年も開催した。
講師:サステナビリティ日本フォーラムアドバイザー 鎗野達男

【人権ワークショップ】

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9月8日(木)(参加7社17名)
企業が海外の事業展開地域において直面すると想定される人権問題の事例を設定することで、バリューチェーンにおいて人権課題のリスクがどこにあるのかを探る初のワークショップを開催した。ワークショップでは現場レベルの視点で自社のバリューチェーンにおける人権課題が挙げられた。一方、講師からの視点では、執行レベル(経営層)のベクトルで人権課題を捉えると、投資ガイドラインの策定なども取り組みとして挙げられたのではないかとアドバイスをいただいた。尚、ワークショップで配布したラギー・レポート私訳版は、庭野平和財団の助成を受けて印刷した。
講師:財団法人アジア太平洋人権情報センター 所長 白石理氏
   寺中誠氏、サステナビリティ日本フォーラム代表理事 後藤敏彦

【ラウンドテーブル】

10月19日(水)(参加者数2名)
「リコーグループの環境経営」ゲストスピーカー:元 リコー株式会社 谷達雄氏
新任の環境・CSR担当役員の方に参加を呼びかけ実施。同社が積み上げてきた緻密な環境経営の取り組み内容をベストプラクティスとしてご提示いただいた。

【シンポジウム】

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12月5日(月)(参加者数65名)
3月11日に発生した東日本大震災は、持続可能な社会を実現する事業活動の検討を重ねてきた組織や個人、すべてに大きな衝撃を与えた。企業は、従来の延長線上ではない新しいビジネスモデルをどう生み出し、次世代社会の中でどのような役割を担うのか。未曾有の大震災を経て社会変革(イノベーション)にどうチャレンジしていくか未来への道筋を提唱するシンポジウムを開催した。

基調講演:「持続可能社会への最前線としてのこれからのエネルギー政策」
東京大学名誉教授 安井至氏
講演「無関心を追い払え!「コミュニケーション」ができること」
一般社団法人Think the Earth 理事/プロデューサー 上田壮一氏
事例報告「日立が目指す次世代都市」
株式会社日立製作所 スマートシティ事業統括本部 主管技師長 河野通長氏
パネルディスカッション「次世代社会で企業はどのような役割を果たすのか」
コーディネーター: サステナビリティ日本フォーラム代表理事 後藤敏彦
パネリスト:安井至氏、上田壮一氏、河野通長氏
助成:エコポイント事務局
後援:外務省、環境省、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク

参加者からは「意識の変革」をうねりにするきっかけは、多くの人に「体験(成功体験など)」を積ませることが必要、「会社が変われば、社会が変わる」という言葉に責任の重さを感じたなどの反応が返ってきた。

【第三者意見書への対応】

サンデン株式会社「2011年度CSR報告書」への第三者意見(平成23年9月)

CSR活動を見直し、改善するひとつの取り組みとして、第三者意見書執筆のご要望をいただいた。役員の方を含めた2回の面談を経て、コメント内容の主旨を理解いただき、意見書を提出した。
担当:サステナビリティ日本フォーラムアドバイザー 鎗野達男

【メールマガジン・ホームページなどによる情報提供】

毎月1回発行のメールマガジンやホームページにて、本会の勉強会・セミナーに加えて、OECD多国籍企業行動指針に関する案内などの情報を発信(メールマガジン登録数1370件)。また、会員専用ページでは、シリーズ勉強会の資料を掲載し、会員サービスの充実を図った。

サステナビリティ社会構築に向けた調査・研究・支援事業

【ラウンドテーブル】

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10月17日(月)(参加者数14名)
「トーマス・ブリューアーさんを囲んでのランドテーブル」
グリーンピース・ドイツ 気候変動・エネルギー部門長 トーマス・ブリューアー氏

トーマス氏の訪日に際し、ヨーロッパにおけるエネルギー意識の高まりとドイツの再生可能エネルギーを主とするエネルギーシナリオについてお話いただいた。50万人のサポーターから成るグリーンピース・ドイツは、どの政治政党のサポーターよりも多い。再生可能エネルギーについては日本とも協働して、主力電源としての研究を進めなければならないとのことを語ってくださった。

【2020年プロジェクト「エコツアー」】11月12日~14日(土~月)(参加者数7名)

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本会では平成16年より持続可能な社会実現に向けて、2020年プロジェクトとして市民の意識を変え、視野を拡げるための研究会を継続的に実施してきた。その一環として「幸せな島」宣言をした島根県隠岐郡海士町に赴き、持続可能な社会に必要なドライバーとは何かをつかむエコツアーを実施した。エコツアーでは、町長とのダイアログをはじめ、漁師体験を行うなど島民の活力に満ちた暮らしを体験した。体験を通じて、海士町が抱えてきた財政難や人口減少などの困難な状況の中でも、これからの未来を描いていこうという島民の前向きな姿勢を感じることができた。最終日には、持続可能な島に向けた「2030年の島の未来を考える」ワークショップ(テスト版)を実施。今後の協働について模索を開始した。

サステナビリティ・リポーティングの国際標準をめざすGRIガイドラインの普及・啓発事業

【GRIガイドライン第3.1版の和訳】

平成23年3月に発表されたGRIガイドライン第3.1版を会員のみに配布することでGRIと確認を進め、本会後藤敏彦代表理事・森哲郎運営委員、元GRI・SCメンバーの伊藤佳代氏に和訳いただいた。会員向けに、人権や地域社会、ジェンダーなどの内容が更新された指標一覧と本文の普及に努めた。

【ガイドライン頒布】

実績:第2版54冊、第3版(暫定版)2335冊、第3版(正式版)販売298冊、無料配布167冊
内平成23年度の実績:第3版(正式版)販売8冊、無料配布5冊(入会特権等)

サステナビリティ・リポーティングに関する研究を推進し、国内外へ提言・提案を行なう事業

【第三者意見書ガイドラインの発行】

社外の視点を取り入れ、次年度の改善につなげるためのPDCA機能として期待される第三者意見書の信頼性向上を目指し「第三者意見書ガイドライン」を発行。無償ダウンロードを1月17日より開始し、普及に努めた(平成23年度の第三者意見書ガイドラインの紹介サイトのページビュー数:345)。

【ヒアリング依頼の対応】

東京都水道局「環境報告書2010」に関するヒアリング調査への対応(平成23年6月10日)
東京都水道局は、16のNPO団体から意見をもらい、環境施策の取り組みや報告書の記載情報の改善に努めている。本会にもお声掛けいただき、平成22年に引き続き、アンケートとヒアリング調査に応じた。
担当:サステナビリティ日本フォーラム事務局 尾山優子

【ラギー・レポート私訳版の作成】

平成23年3月に発行され、同年6月第17回の国連人権理事会にて採択された「人権と多国籍企業及びその他の企業の問題に関する事務総長特別代表、ジョン・ラギーの報告書」の日本語私訳版を6月30日、会員向けに発行。会員企業からは「以前から欲しいと思っていたものが入手でき、よかった」などの反応をいただいた。
日本語私訳版発行後、アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)より要請を受け、共訳で国連文書としての日本語版作成に着手。これを国連広報センターに提出し、ピア・レビューを受けた。平成24年に正式な国連文書日本語訳として発行予定。

<h3その他

【役員懇談会】

第1回「役員懇談会」:1月6日(木)(参加者数12名)
評議員 竹ケ原啓介氏(株式会社日本 政策投資銀行CSR支援室長)より「環境問題と金融」についてご発表いただいた。

第2回「役員懇談会」:8月3日(水)(参加者数13名)<br />
国際的な人権の大枠を捉えるため、ラギー・レポート(私訳版)について情報を共有した。

【認定NPO取得を目指した取り組み】

平成23年6月、改正NPO法ならびに寄付金税額控除方式導入など新しい寄付税制が盛り込まれた平成23年度税制改正案が成立された。本会では、これに先立ち2月24日に行われた総会で、理事・評議員、会員より認定NPO法人格取得についてご承諾をいただいた。2年後の申請を目標に、準備を進めるため、寄付金の募集や賛助会員への会員資格の移行について広く呼びかけを行った。10口(1口/3,000円)の寄付金と匿名の寄付金(エコポイント)、民間助成金や賛助会員移行の申し出があった。1年目の平成23年は、認定NPO申請のため、全体で3割程度の要件を整えることができた。

【他団体のセミナー、シンポジウム協力】

協力

「生物多様性と企業の役割-認証パーム油の最新動向」:2月24日(木)
 主催:財団法人地球・人間環境フォーラム他

「東日本大震災対応緊急フォーラム”ニッポン農力向上&震災復興大作戦!”」:4月5日(火)
 主催:新しい公共をつくる市民キャビネット

「東日本大震災の復興支援に向けた合同MTG」:4月6日(水)
 主催:株式会社クレアン

ISL社会イノベーターフォーラム「BOPビジネスとは何か」:7月7日(木)
 主催:特定非営利活動法人アイ・エス・エル

社会イノベーター公志園番外編「頑張っぺ福島フォーラム」:7月21日(木)
 主催:特定非営利活動法人アイ・エス・エル

「子供未来とうきょうメッセ2011」:11月25日(金)
 主催:子育て応援とうきょう会議 共催:東京都

後援

「持続可能な社会へのイノベーション -ISO26000は世界をどう動かすか-」:1月26日(水)
 主催:株式会社クレアン、株式会社CSR経営研究所

以上

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