CSR有識者の立場から - 冨田 秀実 さん

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ビジネスが社会や環境に与える悪影響が事実上解消されている状態

- 2050年、冨田さんのご専門分野はどうあってほしいですか?

「企業の社会的責任(CSR)」という言葉が必要なくなっている状態。すなわち、CSRのような概念が完全に企業の存在の前提として位置付けられ、語る必要がないほど当たり前のこととなっていて、ビジネスが社会や環境に与える悪影響が事実上解消され、持続可能な発展が実現している状況を期待します。

- 現状のままの延長線上にある社会ではどうなっていますか?

さらに所得、機会、権利の格差が拡大し、一部の持てるものと大多数の持たざる者の格差が、先進国、途上国を問わず拡大してゆくでしょう。その状態が限界に達すれば、社会的不安定化し、最終的には壊滅的な状況に陥るのではないでしょうか。

- 2050年のあるべき姿に近づくためには、どのようなことが必要ですか?

行き過ぎた資本主義、株主至上主義、個人主義、拝金主義からの方向転換。

- 2050年のありたい姿に近づくための駆動目標としてGRIガイドライン第4版の指標を捉えたとき、どの指標が重要と思われますか?その理由もお答えください。

重要と考えるG4ガイドラインの項目(黄色の項目は特に重要と考えている項目)

G4-10
現代の組織はもはや正社員だけでは成り立っていません。組織の労働力の構成を明確にするための重要な指標でしょう。

G4-34〜37
組織のガバナンスにおいて社会環境側面に関する専門的知見や判断するプロセスがどのように位置付けられているかを示す重要な指標群です。

G4-54、G4-55
組織内の格差を示す指標であり、その組織内での付加価値分配を示す重要な指標です。

創出、分配した直接的経済価値
組織が、株主だけでなく、ステークホルダーに対して、どのような経済価値の分配行っているかの基礎的な情報となります。付加価値分配のバランスは、その組織の価値観を示す重要な指標となるでしょう。

G4-DMA マネジメント手法の開示
組織がその課題をどのように捉え、どのように対処しようとしているかを示す基本的な項目です。

-この他、GRIがネガティブな情報開示に重きを置くのは、ビジネスが社会や環境に与える悪影響が解決されることをねらうという意図があるということが分かりました。ガイドラインからスタンダードへの移行に関しても多くの知見をお持ちの冨田さんには今後もいろいろとご教示いただきたいと思っております。お忙しい中、ご対応いただき、誠にありがとうございました。

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