シンポジウム「中国の環境問題 ~日本企業と中国NGOの協働~」報告

このページは2009年に開催したシンポジウム「中国の環境問題 ~日本企業と中国NGOの協働~」の報告ページです。

まず、当日の基調講演者である公衆と環境研究センター代表の馬軍氏(以下、馬氏)よりお話をいただきました。馬氏からは、中国の環境の課題と中国政府が今何をしているのか、NGOの取り組みについてお話を頂戴いたしました。

講演内容

中国では現在、3億人の人々が水汚染にさらされている。環境の悪化を防ぐために、政府も5ヵ年計画などを立てかなり野心的に取り組んでいるが、法律違反する企業は減っていない。その背景には、企業に課せられる罰金の方が汚染対策コストに比べると安いからだ。昨年、政府は情報の開示を進めるという文書を発表した。特に環境関連の情報の開示をというのがひとつの要件となった。企業の環境面における透明性という面では、進捗が見られた。上海市の環境局はホームページで年に2回、基準違反の企業リストを公表している。汚染をしている企業リストをマスコミを通じて毎月発表しているという都市もある。意思決定のプロセスに市民が参加するためにもまず情報にアクセスできることが大切という認識も進んだ。また汚名リストに載った企業をぜひリストから外して欲しいという企業もあり、その場合は3社の監査機関に監査を委託し、是正されているのであれば、独立機関によってそれを証明してもらうという道筋をつくった。

政府ばかりでなくNGOや研究機関なども同じような意識で環境問題に取り組んでいるということ、馬氏もこの情報開示の活動を今後も進めて行きたいとおっしゃられていました。

次にグリーンピース・ジャパン代表の星川氏より、グリーンピース・チャイナの活動についてご講演いただきました。

パネルディスカッション

パネルディスカッションからは、パナソニック・チャイナ荒井氏、富士ゼロックス野村氏、JICA森氏を迎え、市民の認識を高めること、政府、社会全体の制度の整備の必要性が強調されました。きちんとしたデータに基づいて、企業を監査する機関の存在も重視されてきていることにも触れて話し合いました。コーディネーターは当フォーラム代表理事の後藤が務めました。

ディスカッションの中で言及されたNGOから企業に対する期待

本気できちんと環境、信用性の高い部分で企業活動をしようとしているかどうかを核心の部分として大事にしていただきたい。

ビジネス界が環境保護に対する責任は大きい。CSRをもっと前向きにやって欲しい。会社の名声、ブランドを守るということだけではなく企業が存続できるかどうかの問題だと私は声を上げて言いたい。

森氏からは、中国での循環型経済のプロジェクトなどのJICAの取り組みについてお話をいただき、野村氏からはNGOと協働することで企業が、地域社会で抱えている課題を解決することができるというメリットを理解し前向きになっているとの報告をいただきました。荒井氏からは外国企業、しかも経験を積んだ企業が経験を踏まえて活動することが中国市民の期待でもあり、小さな活動もやがては大きな流れになるのではないかというお話をいただきました。

参考資料

当日の会場風景

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協賛:KPMGあずさサステナビリティ(株)、(株)ノルド社会環境研究所、三井物産(株)、(株)クレアン
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後援:グローバルコンパクト、独立行政法人国際協力機構〈JICA〉、外務省、環境省、経済産業省
協力:あいおい損害保険株式会社(会場提供)
主催:サステナビリティ日本フォーラム事務局

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